パリのリトグラフ工房IDEM(イデム)。

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ダリ / Salvador Dali

少しだけ前のお話。
今年の三月にポンピドドゥー美術館で開催されていたサルヴァドール・ダリの回顧展。

その感想を書きながら、最後にとっても嬉しい出来事があったことを綴っていきたいと思います。



"きっと彼にとって生まれ持った人生は最初、あまりに簡単だったんだろうなぁ"

そう思ったことが彼に興味を持ったきっかけでした。

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photo: ダリ代表作, 記憶の固執(La persistencia de la memoria)
1931年作ニューヨーク近代美術館(MoMA)蔵

観る人をその世界感に誘いながらも、はねのける程につるっとした表面と完璧すぎる程のディティール。
そして踏み込んでいいのか分からない彼の奇妙な世界観は、私に長らく親しみを感じさせてはくれませんでした。
以前MoMAで上の作品を観たときも、すごい作品だとは思うけどやっぱり全然惹かれず。
う〜ん...と思っていたんです。

それが、ポンピドゥーで開催された彼の回顧展で彼の人生全体を眺めることが出来たとき、その印象は大きく変わっていました。
展覧会に魅了されるままにカタログを買い、帰りのメトロはそれをうっとりと眺めながら帰りました。


サルヴァドール・ダリ、1904年生まれ。
両親ともにとても裕福な家庭の出身。
そんなおうちに生まれました。

そんな彼の持って生まれたその外見はあまりに美しく、俳優になったところで脇役にはなれそうにない主役級。

e0246645_2324222.jpge0246645_23242089.jpgphoto: ダリの若かりし頃、wikipediaより

美しい...。

お金があって容姿端麗、頭もよく、幼少から興味もあった美術の方向に進むも20才そこらで個展を開催。
本当は、誰もが望むような人生。

でもだからって、それで人生が満たされるとは限りません。
きっと賞賛を浴びることしかなかったダリ。
彼の生まれ持った人生は、きっとあまりに簡単で、彼にとって退屈なものだったんじゃないだろうかと感じました。

そんな彼が自分のたった一度の人生の表現の場所として選んだのがアートの世界。
それは彼の人生を飽かすことなく、最後までスリルを味あわせてくれる、そんな場所でした。



そうやって、思いっきり自分の人生に向かい合ったダリは、本当に素敵な人だったんだろうと思いました。
自分の可能性を存分に表現し、そして最後の最後まで一人の女性を愛し貫いた。
たとえそれが端から見ると奇妙な行動であったとしても、彼は存分に自分の人生を楽しんでいたと思っています。


と、そんな風にダリを好きになってしまったこの展覧会。
帰りの電車で眺めていたカタログには、こんな写真が載っていました。

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photo: ダリ、ムルロー工房にて(1956年)

ピカソやマチス、ミロやシャガールらその他多くの作家が信頼を寄せ、制作をしていたムルロー工房の石版やプレス機たちは、今も現役でここで動き続けています。

この写真を見て、きっとこのダリの使った石版だって今もここに並んでいるんだと思うと、今は亡き偉大な作家と、繋がった気がしました。

それから私は、いつもこの工房に並ぶ石版たちを、

”誰があのダリの石版なのー?”

と、一人でむふふと思いながら眺めています。
そんな私を、二億才くらい年上なこの石版たちは見守ってくれているんだろうなぁと。
だからここでは素敵なことか、とびきり素敵なことしか起こらないんだと思います。


今日も天井から差す日の光と、プレス機の廻るBGMがとても心地がいいです。
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# by idemparis | 2013-06-28 00:14 | 展覧会

時代の節目、今日の出来事。

ここ数週間、カンカンコンコンと音の鳴り響く日が続いていました。
そして今日、これから数ヶ月続くいくつかの変化、その一つがありました。


それがこれ、何十年もここにいたプレス機の一つの旅立ちです。

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photo: 今日4月16日午前11時頃の様子。

段々解体されていくこいつ(私の中では"こいつ"って感じでした)を見ていて、なんだかちょっぴり淋しい日々でした。

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photo: お引越前の様子。

こうやって少しずつ解体。

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photo: 解体された部品が並びます。

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photo: それを見守る石版たち。

その石版たちも、しばし移動。

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photo: ぶつからないように移動中

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photo: 移動も完了!

どうやってここに入ったんだろうと思うほど、大きなプレス機。
いよいよお引越。

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photo: 移動中の様子


結局一番狭いところもたった2cmの余裕を持って通りました。


最後はちゃーんとみんなで見守りましたよ。

ほら。

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photo: 道ゆく人も立ち止まるほど、大掛かり。そしてみんなでお見送り。

吊るされて、持ち上げられて、

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トラックに乗せられて、

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そして旅立ちました。

行く先はびっくりするような場所。
きっとここよりももっと輝けるところ。
淋しさよりも誇らしげな気持ちの方が大きい。

生まれ変わった姿をいつか伝えられると嬉しいです。


そんなちょっぴり哀愁漂う今日という日でした。



そんな動きも本当はいいニュースを伝えるため。
何年も前から動いてきました
いつだいつだと待ちわびていたこのプロジェクト!!
やっと始動です。

なぜこいつがお引っ越ししたかって、大型プレス機の到着が迫っているからです!



ここで今まで制作出来ていたのは最大で80×120cmのサイズ。

それがその倍!
120×160cmのリトグラフを作れるようになります。

それを可能にしてくれるのがこのプレス機!!

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photo: 120x160cmを印刷出来るプレス機。現在は南仏で待機中。

こいつの到着が目前に迫ってきました!!

重さだけで18トン...。
いったいどうなっていくんでしょう。


ここは今、新しい時代に向けて、より多くの作品を生み出すため、変身中です。

少しの哀愁を感じつつも、たくさんの歴史をもつこの工房が更に歴史を重ねていくための節目に立合えていることはなんだか誇らしいほど。
大きな作品たちを発表出来る日が待ち遠しいです!!
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# by idemparis | 2013-04-17 01:05 | idem

IDEM PARIS by DAVID LYNCH

前回来られたのが2012年12月。

その時、映画界の奇才と言われるDavid LynchさんがここIDEMを撮影しました。
いつも笑顔のリンチさんも撮影中はもちろん監督の顔。
そして出来上がったのがこれ。




David Lynch視点で撮ったこの場所。
YouTubeでの反響は大きいです。


そんな彼の作品がフランス老舗食器メーカーBernardaudで発表されています。

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12種類の柄が見れるサイトに飛びます→ David Lynch - Bernardaud 150
このページのインタビューはItem Editionsにて開催中だった展覧会の中で行われたので、彼の油彩やデッサンも動画内で見て頂けるので、ぜひ。

ベルナルドが出しているシャガールのお皿のシリーズは有名ですが、今回150周年を記念して、ジェフ・クーンズら10人の作家とコラボレーションしました。
その中にはDavid Lynch他工房に隣接するギャラリーItem Editionsに名を連ねる作家たちも。



Sophie Calle
(6/30まで原美術館にて個展が開催中 150)

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JR
(6/2までワタリウム美術館にて個展が開催中 150)

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Jean-Michel Alberola

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アルベロラさんはこの工房で制作されたリトグラフと同じシリーズで、とっても色鮮やかなこのシリーズは、工房を更に賑やかにしてくれる。
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このシリーズが印刷された後のプレス機さんたちのかわいさったら...。

ほら、こんなに色鮮やか。
かわいい...。
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このシリーズはパレドトーキョーの一室もこんなに彩っています。
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お皿、ほしい...。
どれもほしい...。
どうすればいいのか...。
現在真剣に悩んでいます。
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# by idemparis | 2013-04-06 01:45 | idem

サヴィニャックの思い出。

一度、サヴィニャックのリトグラフについて書きました

この時は、色が美しく大好きな一枚としてここで紹介したのですが、そういえばどうしてサヴィニャックの作品をここで作ることになったんだろうなと思い、聞いてみました。
語ってくれたお話は、この場所が積み上げてきた歴史が生み出した物語でした。

ここのオーナー、フォレスト
真っ青な瞳の持ち主です。
その透明なブルーの瞳は人より多くのことが見えてるんじゃないかと、私は密かに思っています。

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photo:たくさんの日が差す今日のidemの様子

彼がこの場所を受け継いだのは1997年のこと。
それからしばらくしてここで働いていたという年をとった職人、イヴ・メルシェルに出会いました。
その職人はは言いました。

「自分の父親もまた、リトグラフの職人だったんだ。カッサンドルやサヴィニャックは父が手がけたんだよ。」

そしてこう続けます。

「そしてその中のサヴィニャックの一枚は自分が手がけたんだ。」

フォレストは驚いたと言います。
いつの話だろう。そんなことってありえる??
そう思ったのだそう。

その昔、この職人さんがまだまだ今の私のように新入りだった頃、きっと眉間に皺が刻まれた父を師匠として一生懸命手がけたんだと思います。
それが1949年のこと、この一枚でした。

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作品:Mon Savon au lait (モンサヴォン・オ・レ)

フォレストはその話をすぐにサヴィニャック本人に伝えました。

"その作品からちょうど50年。それを祝って再版しましょう。"

というとっておきのアイディアも付け加えて。
とっても喜んでくれたサヴィニャックご本人とともに、それから2004年までの間に5枚のリトグラフが再版されました。

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作品:La Corse A Corté, 2002
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作品:Téfal, 2004
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作品:MonSavon, 2000
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作品:Seb Régale Vite, 2003


サヴィニャックの作品を作るきっかけとなったMon Savon au Laitの裏にはこう書かれています。

「Yves Melcherの携わった1949年から50周年を祝っての再版」

1949年から半世紀、1999年のことでした。


これに加えて、もう一枚作られたリトグラフがあります。
それがこれ、オランジーナ。

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作品:Orangina mieiux qu'un soda

これも他の作品と同じように裏に説明が書いてあります。

"1964年の試し刷りを経ての初版"

当時、リトグラフでの試し刷りは作られながらも、何かしらの理由で印刷されなかったサヴィニャックの代表作の一つ、オランジーナ。

数十年の時を経て、初めて印刷されることとなりました。
現在も世界中で親しまれているオランジーナ、このことを問い合わせたらとっても喜んでこの初めての印刷を賛成してくれたそうです。



ここがずっと動き続けてるから生まれる物語。
ここがずっとここにあるから生まれたリトグラフ。
このオランジーナはもう残り数枚。
そう思うと少し淋しくもあります。

色んな人たちの想いや人生がたくさん詰まったこれらの作品。
大切な人へのプレゼントに、いつかしようと思っています。
でもまずは自分へのご褒美に青とピンクのモンサヴォン。
毎日お家に帰るとき、このぽにっとした顔が出迎えてくれると思うとほっこりします。



この話を聞いてまたもう少し、この場所が好きになりました。
作品について、工房について、どうぞいつでもご質問下さい。

akiko.otsu@idemparis.com
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# by idemparis | 2013-04-04 22:43 | リトグラフ

JUN INOUE 続き

さて、前回のお話、アーティストの井上純くん。

いつか一緒に仕事をしたいなと、いつかパリに来てねとずっと言っていた私。
いつか必ず行くよと言っていた彼。
こんなにも早く実現するなんて。

今年の夏6月30日、パリはメンズの2013S/Sファッションウィーク真っ盛り。
パリ某所でミハラヤスヒロさんのショーが開催されました。

そのショーでコラボレーション、ライブペインティングをすることになったと聞いた時は本当に本当に嬉しく、待ちわびていたこの日。
自分が初めて買った作品、その作家がしかもミハラヤスヒロさんとコラボレーションすることになるなんて!!

ショーは始まりライブペインティングが進む。
久しぶりに見る井上純のライブペインティング。

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photo:JUN INOUE@YASUHIRO MIHARA 2013S/S, 筆者撮影

ショーが進み、黒一色の世界に赤が入ったところでまさかまさか…

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photo:JUN INOUE@YASUHIRO MIHARA 2013S/S, 筆者撮影

服にまで彼の作品がプリントされている。

最後に井上純くんとミハラヤスヒロさんが一緒にでてきた時には涙が溢れ出ました。
友人で、大好きな作家が目の前で一つのステージを完成させた。
ただただ嬉しかったです。

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これはライブペインティングが終わったあと。
これが10分そこらで描かれました。




よかったーよかったー。

と、せっかくのパリ。
ここで終わらせたくないのが正直な気持ち。
そしてもちろんこの工房へ。


そしたらそしたら!!
オーナーが彼の作品を気に入って作品を作っていいと言ってくれました!!!感激!!
こんな場所に急に来て、日本では見たこともないような石版で制作。
作家冥利に尽きますよね。
純くん、かなり喜んでくれました。

で制作。

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photo:制作風景@IDEM工房

出来上がった原画はすぐに職人の手で版にされます。
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photo:版にする工程

で、ピカソもミロもシャガールも作ってきたこのプレス機に乗せられます。
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そして出来たのがこの作品です。
うーん、嬉しいっっ♪

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photo:JUN INOUEリトグラフ作品、工房にて撮影

この作品はIDEMのサイトでも紹介されています。
http://idemparis.com/jp/index.php/edhisyon/jun-inoue/

次はカラー作品も作ってほしいなと思います。



最後に、

彼のプロフィールにこう書いてあります。

"日本特有の繊細な精神性をアブストラクトな線で描き、独特な「間」を作品の中に生み出し、
モダンなセンスと伝統的なスピリッツが混ざり合うように、絶妙な感覚が見る者の意識を刺激する。 "

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photo:JUN INOUEサイトより作品を引用

少し難しいんだけど、これは彼が言ってた言葉を聞くとしっくり。

"欧米の文化が混ざっている社会が当たり前の自分たちがいて、伝統を守ろうとする流れも大きい。そんな世代に生まれた自分たちだからこそ、生み出せるものがあるんだと思うだよね"

描く部分を大切にする欧米的文化と、余白を尊重する日本文化のその両方を、そして黒を愛しながら色彩にも挑戦する。
そんな彼らしい挑戦。
これからも応援していきたいです。

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photo:JUN INOUEサイトより作品を引用

みなさんも彼の活動、ぜひチェックしてみてくださいね。


*追記*
今週土曜日、10月27日に東京青山のMIHARAYASUHIROにてJUN INOUEのライブペインティングが開催されるそうです。
第六回青参道アートフェア:http://aosando.com/aosando-art-fair/178-2
ここではミハラヤスヒロさんとの限定コラボレート商品も販売されるとか。
お近くの方はぜひぜひお立ち寄り下さい。
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# by idemparis | 2012-10-24 21:33 | 作家/作品