パリのリトグラフ工房IDEM(イデム)。

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idem物語8 - 大人の遊び心 -

ここはクリエーションが集う場所。
今日はこんなところに視点を向けてみました。
まじーめに仕事をしていたって、息抜きにちょっとこんなことしたくなりますよね。

だってアーティストっていつでも遊び心を忘れちゃ、やってけないんだもん。
時には眉間にしわ寄せて、プロの仕事をこなす職人たちも歌を歌ったり口笛吹いたり。
小さないたずらだってしょっちゅう。

そんな遊び心、集めてみました。
なかでもこの工房で一番目立つのはこれ。
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Jean-Michel ALBEROLAさんの作品。
試し刷り(サインやナンバーの入っていないもの)を誰かが貼ったんだと思います。
書いてあるのはフランス語で"A, B, C, D, E... S, T, UTOPIE, un conte pour enfants."
意味は"A, B, C, D, E... S, T, ユートピア、子供のためのお話"。

実はこれ、日本語バージョンもあります。
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ほんと、可笑しい。
アルベロラさんの視点が私は大好きです。

この周りには遊び心がたくさん。
ほら、
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ツノとか(時々これを頭に乗せて遊んだりします、私を含めた大の大人たちが...)、
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とりあえずいろんなもの。
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プーさんはインクの番人。
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歴史の詰まった石版の並ぶ棚も、よくよくみてみると....
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この石版がずら〜っと並ぶ、
ほら。
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ぷぷ。

ここにだれかが手袋を片方落していったのなら、こうなります。
ほら。
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絵になる遊び心も。
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一番神経を使う色を作る台だって、格好の遊び場。
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緊急事用アラームのとなりにも。
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この工房の心臓のような存在、プレス機にだっておかまいなし♡
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番人と言えば、彼の存在は忘れちゃいけません。
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どどん。
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24時間365日、どうもお疲れさまです。

今年のガレット・デ・ロワに入っていたフェーブは、こんなところで見つけました◎
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ここでしか見られないアートもありますよ。
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中国のトップ現代アーティストの一人、Zhang Xiaogangさんもここで作品を一枚制作されましたが、その時のアルミプレートはこんな感じで工房のどこかにこっそりと残っています。

JRの作品は中庭へ続くドアの番人になってました。
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あ、元の作品はと言いますと、こんな感じです。
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JRと言えば、ここに来るとストリートアーティストの血が騒ぐんでしょうか。
楽しそうに"いひひ"と笑いながら、ぺたぺたしていきました。
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ここも。
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ここにも。
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こうやってここは世界を代表する作家の作品たちと、こんな小さな遊び心に溢れています。
仕事を楽しんでやっている証なんじゃないかなーと思って、私は可笑しくなってしまいます。
職人、作家、みーんなが笑顔になるこの場所。
そりゃ、いいものが生まれるはずです。

日本から戻ってきて今日で一週間。
やっぱりここ、居心地がいい。

最後に、JRは私のアップルちゃんに"ぺたっ"として帰りました。
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ほんと、ここが好き。
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by idemparis | 2012-02-28 23:08 | idem

David Douglas Duncan - ピカソの証人 -

今日のブログはいつもと違う書き方をしようと思います。

今日は2月23日。
今は午後8時25分。
セーヌ川沿いでノートルダム寺院とエッフェル塔を見ながら書いています。

どうしてって、、、
たった今とても素敵な出会いをしてきたからです。
そしてそれは、きっともう再会することのない人との出会いでした。
この今の想いを伝えたくて、今ここでブログを書いています。


彼の名前はDavid Douglas Duncan。
もともと戦場カメラマンとして名を馳せていた彼。
そしてピカソに唯一近づくことを許されたカメラマンであり、ピカソを追って写真を撮り続けたことで有名です。
そして今日は彼の写真の展覧会のオープニングでした。

家とは逆方向の展示会場であるギャラリーBasia Embiricosに、時差ぼけと疲れの残る身体は行くことを拒否。
でも、ピカソと共に人生を歩んできた人に会いたくて身体を頭が説得。
どうにか辿り着いた場所。
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photo:Basia Embiricosギャラリー

御年96歳。
ピカソよりも35才若かったことになります。
彼はピカソの情熱と、まさに天性の才能をカメラに収め続けました。
e0246645_23321553.jpge0246645_23323414.jpgphoto:© David Douglas Duncan 2012 © Succession Picasso 2012

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photo:展覧会様子
この日は分厚い図録の発売記念も兼ね、多くの人がサインを求め買った本を手に彼の元に集まっていました。
私も展覧会の素敵さについつい購入。
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せっかくだしなーと思いながら私もサインを求めて彼の元へ行きました。

一人一人に丁寧にサインをするDavidさん。
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"あれは書道だね"と周りがいうほど集中して描かれ、既にお疲れのようでした。
少しイライラもされているよう。
"あと一人"と言われ半ばあきらめました。

いいの。だってサインをもらいにきたんじゃないもの。

と、、、思ったらその瞬間目が合い、彼が"ニヤッ"としました。
私はつられて"にこーっ"と。
その瞬間、指で”その本を貸しなさい"と合図するDavidさん。
ほんの数秒前まであきらめていた私は、まるでこうなることが分かっていたかのような気持ちになっていました。
彼は私の名前を尋ねると、"AKIKOという名前なのか!"と少し驚き、それまでのしかめっ面が何だか笑顔。
その驚きがなんだったのかは分からないけど、終始笑顔でサインをするDavidさんを見ながら私もずーっとニコニコしていました。

彼がサインを書いてくれている間、ずーっとわくわくしていたのは、握手をするのが楽しみだったから。
不思議なことにサインの後誰も彼に握手を求めないんですね。
Davidさんが少しお疲れだったからかな。
でも私は笑顔で握手をすると、彼と目が合った瞬間から決めていました。

これまでに、何回ピカソと握手をして、何度ピカソの肩を抱いただろう。
ピカソが亡くなった1973年4月8日、もし彼が泣いたのならきっとこの手がその涙をぬぐったのだと思います。
私はその手と握手がしたかったんです。

こんなことを言ったら、毎日私を迎えてくれる工房のプレス機たちに怒られてしまうかもしれないけど、ここでは当時の人の温度だけは触れることができません。
たくさんの歴史も、たくさんのパワーも想いも、今の人たちのとびきりの笑顔やたくさんのぬくもりはあるけれど、当時の人たちのぬくもりだけがここには足りません。
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photo:たくさんのピカソの作品を生んだプレス機と、石版たち

昔を繋ぐ今を、未来へと繋ぎたい。
この一年、たくさんのこと、ものを見て、たくさんのもの、人に触れてきました。
でも今日、Davidさんと握手をしたことで、過去の人の温かさもちゃんと受け取り、次に繋げられると感じました。

Davidさんの手は柔らかくて大きくて、とっても温かい手でした。
彼がこれまで手をつないできた多くの人たちと、私も手をつないだような気がしました。
そして彼は、"最後の一人"を撤回し、また次のサインを始めました。
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そして私はギャラリーをあとにしました。
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photo:ギャラリーのある通り

出会った人たちとはもう一度会いたい。
何度再会しても、また会いたい。
常にそう思っています。
でも今日初めて、再会を求めない、というよりも彼と共有する最初で最後のこのたった1、2分の間に、ありったけの気持ちを込めることの出来た、そんな出会いをしました。

たった今感じたこの想いをすぐに伝えたくて、今日はこんな場所で書いてみました。
こんな素敵な出会いがある。
やっぱりパリは、私にとってキラキラ輝く宝箱なんだなぁと改めて思いました。

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photo: この記事を書いた時のセーヌ川
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by idemparis | 2012-02-25 00:04 | 展覧会

日本より帰ってきました。

お久しぶりです。

パリに戻ってきました。
日本出張、たくさんいいことがあり、本当によかったです。
とはいえ、なんであんなに忙しかったんだろう。
東京に居た10日間が一ヶ月のように感じています。

二週間ぶりのパリは、寒波も去って寒くもないしとっても落ち着ける空間がここにはやっぱりありました。
二週間ぶりの私をとっても喜んで迎えてくれるここのみんながいて、製作中の作家さんも居て、帰ってきたなぁと感じました。

今日からは滞在中の出会いなども記事におりまぜながら、またブログを再開したいと思います。
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写真はギャラリーの私がいつも座っている場所。
工房も大好きですが、こっちのギャラリーも大好きな場所です。
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by idemparis | 2012-02-22 00:29 | idem

idem物語7 -私の居場所-

もう何度も言っているんですが、私、ここが大好きなんです。
本当に今の生活の中心となっている場所。

パリに来る前から知っていた今のオーナーを尋ねて8年くらい前からちょくちょく来ていたこの場所。
数ヶ月ぶりにここに足を運んでもいつもと変わらずここは私を迎えてくれていました。
日本に帰っても、ここに戻ってくると"あ〜戻ってきたなぁ"と毎回思います。
自分のお家じゃなくてここ。
ドアをくぐってこの風景を見るとほっとします。
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インクの匂いとこの空間が私のパリの居場所です。

今は毎日みんなに"Bonjour!"と挨拶したらまずここへ。
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定位置についた私の視界はこんな感じ。
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夏は光が入り込み、雨が降ると音が聞こえます。
私の背中にはいつもピカソの版画(1962年印刷)とレイモンド・ペティボン(2005年印刷)が並び、いなくなったら淋しくてしょうがなくなるほど、私と彼らはいつも一緒にここにいる同僚みたいなものです。
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ある日いつものようにここに来たら、入り口にこんなのが貼られてました。
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これはもちろん彼↓の仕業。
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不思議。
名前が貼られると、自分の居場所が確立される。

この工房で、私はねずみちゃんとかハムスターとかパピヨン(蝶々)と呼ばれています。
自由にマイペースに動いてまわるから。
時々、エンジェルと呼んでくれるのはとりあえず"にこにこ"笑顔だけは欠かさないからでしょうか。

100年以上変わらずここにあるこの工房は、毎日色んな表情の変化を見せます。
職人さんが色を作って、
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それがプレス機に乗っかって、
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印刷が終わる度にお掃除されます。
その度にぽたぽたこぼれるインクはプレス機の底もお粧し。
ほら。
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色んな作家さん、作品が歴史となって積み重なると、こうなります。
ほら。
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そしてそして!
私がこの工房の中で一番一番大好きな場所。
それがここです。
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何だか分かりますか?
これ、インクのつらら。
一色ずつしか印刷出来ないリトグラフは、その色の数だけプリントされます。
色を作って、プリントして、キレイに掃除されて。
キレイにされるとき、ぽたぽたとインクが少しこぼれおちます。
それがつららになったもの。

一体いくつの色が重ねられたらこうなるのだろう。

あ、せっかくなのでアップでも見てください。
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大好きです。
ここ、ほんと。
歴史が詰まったここで、もっとも歴史の積み重なりを感じるところ。

明日からしばしお別れ。
日本に出張です。
また色んな出会いがあって、その人たちがこの場所に足を運んでくれたらいいなぁと思います。
彼らの作品や想いは、また世界中に広がっていく。

ここはそんな場所です。
二週間後、また戻ってきたとき変わらずインクの匂いと心地いい音、また二週間分歴史を積み重ねたここが私を迎えてくれます。

にこにこしているのは私だけど、にこにこさせてくれているのはこの場所とここにいるみんなです。
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by idemparis | 2012-02-04 03:42 | idem