パリのリトグラフ工房IDEM(イデム)。

カテゴリ

idem
item editions
今日の出来事
展覧会
リトグラフ
作家/作品
アートとは
今日のリトグラフ
私の軌跡
コンタクト

以前の記事

2013年 06月
2013年 04月
2012年 10月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月

検索

その他のジャンル

最新の記事

ダリ / Salvador ..
at 2013-06-28 00:14
時代の節目、今日の出来事。
at 2013-04-17 01:05
IDEM PARIS by ..
at 2013-04-06 01:45
サヴィニャックの思い出。
at 2013-04-04 22:43
JUN INOUE 続き
at 2012-10-24 21:33

外部リンク

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧

<   2013年 06月 ( 1 )   > この月の画像一覧

ダリ / Salvador Dali

少しだけ前のお話。
今年の三月にポンピドドゥー美術館で開催されていたサルヴァドール・ダリの回顧展。

その感想を書きながら、最後にとっても嬉しい出来事があったことを綴っていきたいと思います。



"きっと彼にとって生まれ持った人生は最初、あまりに簡単だったんだろうなぁ"

そう思ったことが彼に興味を持ったきっかけでした。

e0246645_23111510.jpg
photo: ダリ代表作, 記憶の固執(La persistencia de la memoria)
1931年作ニューヨーク近代美術館(MoMA)蔵

観る人をその世界感に誘いながらも、はねのける程につるっとした表面と完璧すぎる程のディティール。
そして踏み込んでいいのか分からない彼の奇妙な世界観は、私に長らく親しみを感じさせてはくれませんでした。
以前MoMAで上の作品を観たときも、すごい作品だとは思うけどやっぱり全然惹かれず。
う〜ん...と思っていたんです。

それが、ポンピドゥーで開催された彼の回顧展で彼の人生全体を眺めることが出来たとき、その印象は大きく変わっていました。
展覧会に魅了されるままにカタログを買い、帰りのメトロはそれをうっとりと眺めながら帰りました。


サルヴァドール・ダリ、1904年生まれ。
両親ともにとても裕福な家庭の出身。
そんなおうちに生まれました。

そんな彼の持って生まれたその外見はあまりに美しく、俳優になったところで脇役にはなれそうにない主役級。

e0246645_2324222.jpge0246645_23242089.jpgphoto: ダリの若かりし頃、wikipediaより

美しい...。

お金があって容姿端麗、頭もよく、幼少から興味もあった美術の方向に進むも20才そこらで個展を開催。
本当は、誰もが望むような人生。

でもだからって、それで人生が満たされるとは限りません。
きっと賞賛を浴びることしかなかったダリ。
彼の生まれ持った人生は、きっとあまりに簡単で、彼にとって退屈なものだったんじゃないだろうかと感じました。

そんな彼が自分のたった一度の人生の表現の場所として選んだのがアートの世界。
それは彼の人生を飽かすことなく、最後までスリルを味あわせてくれる、そんな場所でした。



そうやって、思いっきり自分の人生に向かい合ったダリは、本当に素敵な人だったんだろうと思いました。
自分の可能性を存分に表現し、そして最後の最後まで一人の女性を愛し貫いた。
たとえそれが端から見ると奇妙な行動であったとしても、彼は存分に自分の人生を楽しんでいたと思っています。


と、そんな風にダリを好きになってしまったこの展覧会。
帰りの電車で眺めていたカタログには、こんな写真が載っていました。

e0246645_035939.jpg
photo: ダリ、ムルロー工房にて(1956年)

ピカソやマチス、ミロやシャガールらその他多くの作家が信頼を寄せ、制作をしていたムルロー工房の石版やプレス機たちは、今も現役でここで動き続けています。

この写真を見て、きっとこのダリの使った石版だって今もここに並んでいるんだと思うと、今は亡き偉大な作家と、繋がった気がしました。

それから私は、いつもこの工房に並ぶ石版たちを、

”誰があのダリの石版なのー?”

と、一人でむふふと思いながら眺めています。
そんな私を、二億才くらい年上なこの石版たちは見守ってくれているんだろうなぁと。
だからここでは素敵なことか、とびきり素敵なことしか起こらないんだと思います。


今日も天井から差す日の光と、プレス機の廻るBGMがとても心地がいいです。
[PR]
by idemparis | 2013-06-28 00:14 | 展覧会